友禅庵は友禅染の始祖とされている宮崎友禅にちなんで造園された庭園です。
友禅庵は知恩院三門の南に位置する境内に、
江戸時代前期から中期に活躍した宮崎友禅の生誕300年を記念して、京友禅にゆかりのある京都の染織業界の人々が
1954年(昭和29年)に共同で作庭した庭園です。歴史的にはさほど古いものではありませんが、
この場所に友禅庵が作庭された背景には、もともと知恩院のこのあたりに宮崎友禅が
生前住居を構えていたことにちなんでいるのだそうです。
宮崎友禅はもともと扇面絵師の職人として京都でその名を馳せた人でしたが、
染料として顔料を使用するという職業上の特性から、それを使って着物の染色にも
その才能を発揮し、友禅染の原型を完成させると共に、現在では伝統工芸の京友禅として京都の人々に親しまれる
こととなります。またその後、友禅の才能にほれ込んだ加賀藩主の前田家に気に入られて
加賀へと移住し、ここで京友禅と並んで有名な加賀友禅を作り上げることとなります。
京友禅が抽象的な図画を基調とするのに対して、加賀友禅は花鳥などの絵画的な図画を特徴としているようです。
友禅庵は普段は一般公開されていませんが、
東山花灯路の行われている3月の期間中と、
紅葉時期のライトアップの行われている11月に特別公開されています。
比較的こじんまりとした庭園ですが、友禅庵内に入って最初に目に付くのが紅葉に囲まれた庭園の補陀落池の中に立つ
高村光雲作の聖観音像で、そこから庭園内に入ってゆくと、京都大沢家の別邸茶室を移築し、
裏千家15代鵬雲齋の命名による茶席の華麗庵や、1930年(昭和5年)に知恩院第79代門跡であった山下現有猊下の白寿記念
に知恩院下の華頂通に面した浄土宗宗務庁近くに建立され、裏千家14代淡淡齋の命名による茶室を
知恩院第86代門跡である中村康隆猊下の白寿を記念して
改めて友禅庵内に2004年(平成16年)12月15日から1年をかけて修理解体、移築・改築した茶室白寿庵などがあります。
友禅庵の拝観料は300円、知恩院方丈庭園との共通拝観は500円です。但し夜間拝観は昼間とは別で知恩院方丈庭園・友禅庵共通で800円となります。
友禅庵 紅葉の壁紙写真
友禅庵の紅葉時期の風景を壁紙写真にしてみました。