フォトコンテスト自体、アマチュアにとっては写真上達の励みになりますし、
いいことなのでしょうが、これがさらにマナーを悪い方向への引き金を引いているようにも思えます。
例えばカメラマンが撮影後に後のカメラマンに同じ写真を撮らせないために花をちぎっていったとか、
木の枝を折っていったとか、立ち入り禁止を無視して平気で三脚を突っ込む、
なぜこんなカメラマンを作ってしまうのでしょうか?
結局のところ、フォトコンテストがなければおそらくここまでして無茶苦茶をする必要はないのでは?
と思います。こういった自分勝手な行為を引き起こすのは、コンテスト写真で言う
主題を明確にして撮るといったことや、対象物にもっと近寄って迫力のある写真を撮れといったことや、
現状のフォトコンテストではありきたりの写真ではいわゆる「絵葉書」といわれて審査以前にはじかれてしまうために、
目を引く、人と違った角度や変わった写真を撮らなければそもそも審査以前に問題外となるといった
ことがあるためだろうと思います。
聞いた話では審査員の先生方も富士山とか桜とか対象物が見慣れてしまって
飽きてしまっている写真は、また富士山かということで見る前からはじいてしまってボツらしいですし、
コンテストの常連のような撮影者にしたらそれが当然わかっているので、
許される範囲で変わった視点や独自の構図といったことを追求するだけならまだしも、
人よりもっと対象物に近づこう、人よりもっと迫力のある写真を撮ろう、人に同じ花を撮らせないようにしよう、
そういった心理が、立ち入り禁止を無視したり、せっかくきれいに咲いている花を
踏みにじったり、田んぼを平気で荒らしたり、人のことなど考えずいつまでも同じ場所に
居座ったりといった弊害を生んでいることは間違いないだろうと思います。
私が見た限りでも、室堂へ行ったときに、雷鳥の写真を撮るために立ち入り禁止の地獄谷へ向かって
平気で立ち入り禁止を無視して歩いて行ったカメラマンがいました。
コンテストで入賞するためには・・ということが第一になってしまうとどうしてもこのような
身勝手な行動に出てしまう可能性が増えてきてしまうのだろうし、
初心者のうちからフォトコンテスト用の写真の撮り方のみを習っている写真教室などの人は、
なおさらこうなりやすいのではないかと思います。
写真が好きで、自然が好きで、対象物に慈しみがあって、
写真を撮ることを楽しんでいれば間違ってもこんなことにはならないはずで、
フォトコンテストに入選することのみを生きがいにしてこういう行為をしている人たちは
おそらく求めているのは人から上手いといわれたい、
傑作だといわれたい、そんな名誉だけであって、
自然に対しても他人に対しても写真に対しても
本当のところ何の愛情も持っていないのではないかと思います。
フォトコンテストがあるからいい方向に向かっていればいいのですが、
逆に名誉欲に駆られた一部のカメラマンによって、
かなりの弊害を起こしているのではないかと思うのです。
まかり間違ってもこんな人たちが受賞しないように願うばかりです。