点在する弥陀ヶ原の餓鬼田。
餓鬼田の餓鬼とは、仏道で生前に贅沢をしていたものが落ちるとされる地獄のことで、
常に満たされない空腹と喉の渇きに苦しめられる地獄だそうです。
立山は古来より霊山としてあがめられ、この世に天国と地獄を見ることができる
立山曼荼羅でも有名なところです。その立山には地獄谷があることから、
このような弥陀ヶ原に点在する池塘を餓鬼田と呼んで地獄に見立てる発想が生まれたようです。
亡者が餓鬼道に落ち、その空腹を癒すために
田んぼのようにも見える池塘・餓鬼田に苗を植えて
空腹を満たそうとしているように見えたところから、
この弥陀ヶ原の池塘が餓鬼田と呼ばれるようになったのだそうです。
ただ実際に見える餓鬼田に生えているのは稲ではなく当然高層湿原の草木ですので、
秋になれば実るかと思いきや枯れたような色になるだけで、
当然米は取れることはなく、空腹が満たされない餓鬼道そのものを餓鬼田に見たのかもしれません。
また余談ですが子供のことを侮蔑する用語でガキと言うのがありますが、
この言葉自身は餓鬼道の餓鬼から来ているそうで、
空腹を満たすために見境なく何でも口に放り込む様子を餓鬼に例えたのが語源なのだそうです。