積丹半島北西部の先端に位置する神威岬(カムイ岬)は、ニセコ積丹小樽海岸国定公園の一部となっています。
もともとアイヌでは神の棲む岬として、女人が立ち入ると神の怒りにふれて船が沈むと言い伝えられ、
江戸時代末期の1856年(安政3年)までは女人禁制とされていました。
それは源義経とチャレンカにまつわる悲恋の物語の伝説があり、
奥州をひそかに抜け出した義経がアイヌの日高の首長を頼って身を寄せ、
その時義経を見染めた首長の娘であるチャレンカが義経に強く恋をするようになってゆきます。
しかし義経はさらに北を目指すために出発し、チャレンカも後を追って神威岬まで来たもののすでに
義経一行は出発した後だった。チャレンカは岬から大声で呼びかけますが風にかき消されて届かない。
なすすべなく悲しみに打ちひしがれたチャレンカは「和人の船、婦女を乗せてここを過ぐればすなわち覆沈せん」
という恨みの言葉を残してそのまま神威岬から身を投げます。
その怨霊からか付近一帯を通過する女性を乗せた船が次々と転覆座礁を繰り返したことから
人々は恐れをなし、ここを女人禁制としたという言い伝えがあります。
またこのときの首長の娘チャレンカが姿を変えたのが神威岬の先端にある神威岩だともいわれています。
神威岩はチャレンカの化身ともいわれるように、海の向こうの義経を見つめているような姿をした奇岩です。
神威岬自体、日本海に鋭く突きだしたような竜の背中のような形をしており、その先端積丹ブルーの海には神威岩が聳え、
その神秘的な風景は積丹地方のみならず北海道の観光名所としても有名です。
神威岬へ向かっては、切り立った断崖の上を比較的狭い遊歩道が岬の先端にまで続いています。
駐車場に車を止めてからしばらく尾根筋の遊歩道まで登り、そこから女人禁制の門を通って
遊歩道「チャレンカの小路」を尾根にそってアップダウンを繰り返しながら
岬の先端まで距離にして約770m、約20分〜30分程度歩きます。
途中両側が切り立った崖になっているところもあり、危険な部分には鉄製の橋や階段が渡してあります。
尾根筋の遊歩道からの眺めは最高で、両側が非常に開けているため美しい海と風景を堪能することが出来ますが、
地形上遊歩道は吹きさらしの状態となるため、風雨の強い日などは立ち入り禁止となることもあるようです。
雨の降っているときもぬかるみになる土の部分も多く鉄製の橋や階段は滑りやすくなるため、
天候によっては滑り止めの長靴があった方がいい場合もあります。
また岬の先端近くには神威岬灯台も設置されています。
神威岬は駐車場は無料ですが清掃協力費として100円募金が設置されています。
また入場時間には制限があり、夏場は午前8時から午後7時か8時までです。
日没時は遊歩道は真っ暗となり足元も非常に危険な場所ですので日没間際は注意が必要です。