出石名物と言うと、何といってもこの皿そばに尽きるのではないでしょうか。江戸時代の中頃1706年になってこの地に信州上田城から国替えでやってこられた仙石政明氏が、信州のそば職人を一緒に連れてきたところから出石そばが始まったと言われています。わざわざ仙石政明が、この出石まで信州一と言われているそば打ち名人のそば職人を連れてきた理由は、大変にソバが好きだったと言う理由によるものです。そうでなければ、わざわざそば職人を連れてくることはなかったかもしれません。またそうなっていなければ、出石の皿そばも誕生しなかったことでしょう。それを考えると、ある1人の大名の好き嫌いによってその次の名物ができたができなかったかと言うことが決まってしまうわけで、歴史の偶然を感じさせられます。またもともとは出石そばの材料となる蕎麦の実は意外なようですが、出石町内では作られていなかったそうです。ただ最近では減反政策によって空いた土地を利用して蕎麦畑を作る事によって、地元出石で取れたそば粉を使用するところも出てきているようです。ちなみに、出石以外では北海道産とかといったそば粉使っている場合が多いそうです。そば粉と小麦粉の割合は、だいたい8対2だそうです。皿そばと言われているように出石そばでは出石焼きのとても綺麗な白磁と呼ばれている白いお皿に盛ってソバが出てくるのが特徴と言えます。もともとは、江戸時代には色を持った焼き物が主流でしたが、だんだんと衰退してしまい、江戸時代中期に入ってとても質のいい白磁原石が発見され、さらに明治時代に入って現在のような白磁の出石焼きが誕生してきました。それに伴って、皿そばとして提供する形ができてきたようです。出石の皿そばは基本的には一人前5皿で提供されています。そしてそれにダシや薬味として、ネギやわさび、卵や長芋とろろがあります。そしてこれらを一緒に入れてかきまぜて作ったタレの中にそばを付けて食べるというのが一般的な食べ方です。大体1人前が800円前後となっていますが、量的にはもの足りない人も多いかもしれません。食べ足りなければ一皿ずつで追加する事も出来ます。だいたいどこでも1人で20皿ぐらい食べると、そば通認定証を発行してくれるようです。これは店によっていろいろ特色があります。また、出石町内だけでもそばを提供している店が40店から50店くらいあります。ただあまり早い時間に着き過ぎるとまだ営業されていません。大抵の店は午前11時くらいに営業開始するところが多いようです。出石観光の途中で出石そばを食べようと思ったら、朝早く着いたらそれまでの間じっくりと観光するのが良いかもしれません。