賀名生梅林・広橋梅林と並んで奈良県の三大梅林の一つ、月ヶ瀬梅渓(月ヶ瀬梅林)です。
以前撮影に行ったときには日が暮れていて、日中の月ヶ瀬梅林を撮影することはできませんでしたので、
今回リベンジに行ってきました。
月ヶ瀬梅渓(月ヶ瀬梅林)の特徴は何と言ってもその景色の雄大さにあります。
関東・伊豆の方に月ヶ瀬梅林というのが別にあるそうですので、奈良県の方では月ヶ瀬梅渓と呼んでいます。
三重県と京都府に接する県境付近にあり、名張川(五月川)が刻んでいる深い渓谷の斜面に植えられている
梅林です。約1万3千本といわれるその本数もさることながら、渓谷を挟んで急斜面越しに見る梅の花は
その景色の素晴らしさに圧倒されます。奈良県の山間部にあることもあり、開花時期はやや遅めです。
月ヶ瀬梅渓の歴史は非常に古く、鎌倉時代の1205年に菅原道真をこの地の神として天神神社を立て、真福寺にお祀りして、
菅原道真の好きだった梅を梅渓内の真福寺境内に植えたのが始まりだと言い伝えられているようです。
また江戸時代にもここは観梅の名所として多くの人でにぎわっていたとか。
さらに南北朝時代1331年に吉野で南朝を建てた後醍醐天皇が笠置落城で吉野へのがれる途中にこの地に逃れた際に
つき従っていた女官が村人によって助けられ、そのお礼にと地元の人に
紅染の媒染剤の製法である紅染め用の梅の実の燻製(鳥梅)の栽培方法と製法が伝わり、
江戸時代にはそれが盛んになって紅花染めの染料を取るために多くの紅梅を植えたとも言われています。
これはこの地が耕作に適せず、年貢米を収めるよりも高級染料となる鳥梅生産の方が合っていたからとされています。
最盛期には約10万本もの梅が染料の目的で植えられていたそうですが、化学染料にとって代わられてから
鳥梅用の梅は食用に適さず衰退したものの、再び現在は観光地化して復活したのだとか。
大正11年(1922年)3月8日には日本国初の名勝地として奈良公園や金沢の兼六園とともに指定もされています。
以前はここは文字通り渓谷で、もっと多くの梅が植えられていたそうですが、
ただ残念なことに1969年(昭和44年)の高山ダム建設に伴ってかなり水没する梅などが出てきたため、
出来るだけ植え替えはしたそうですが。
ともあれ月ヶ瀬梅渓は標高差もあり日当たりの違いもあるので場所によっても開花状態は違いがあり、長く楽しめるのではと思います。
毎年2月中旬ごろから3月末までは梅まつりが開催されています。
通常梅は2月中旬ごろから見ごろといわれることが多いですが、月ヶ瀬梅渓初め奈良県の梅林は
比較的開花時期も満開時期も遅めで、今回撮影した3月下旬でもまだ完全に満開には至っておらず、
和歌山県で桜が満開になるころにここの梅も満開になるのではないかという感じです。
また開花時期や満開時期はその年の気候によってもかなり左右される部分があります。
私が見た感じではこの年は見頃ピークはおそらく3月中旬から末ごろではないかと思いますが場所によって異なります。
月ヶ瀬梅渓へのアクセスは通常は車で名阪国道五月橋インターで降りて月ヶ瀬方面へ
約10分ほど車を走らせると見えてきます。月ヶ瀬橋周辺に駐車場がありますが、
ここから梅林へと上がってゆくにはかなりの急坂を登ってゆかねばならず、体力に自信のある方以外は
あまりお勧めではありません。月ヶ瀬橋を渡り切ってぐるっと裏手の山側へと車で上がっていって、
直接上にある民間駐車場を探して止められる方がはるかに近いし行きやすいです。
月ヶ瀬梅渓の入場料は無料ですが、民間駐車場料金が600円〜700円程度かかります。