鶏足寺は、どちらかというと散り紅葉で最近有名になっているお寺です。少し前までは住職やその家族が維持管理をされていたそうですが、最近は廃寺となっています。その歴史は非常に古く、奈良時代に、行基上人が建立したと伝えられています。その後、799年に最澄によって再興されたと言われています。一時期は荒廃してたと言われていますが、その後再び再建されて、一時的に奈良時代に勢力を拡大していた興福寺の末寺になっています。この寺が最大の隆盛を誇ったのは、15世紀の室町時代の延徳年間(1489年〜1492年)に入ってからで、この時代には、法印実盛上人という高僧が登場して、非常に勢力を伸ばした時期だと言われています。かつては多宝塔や、経堂や、鐘楼や庭園を備えていた、それなりに規模が大きいお寺だったようです。その後戦国時代に入ると、浅井氏や、京極氏の庇護を受けて祈願所となっています。また江戸時代に入っても、寺領を与えられていて、少しずつ衰退しながらもその姿を維持していたそうです。雲行きが変わってしまったのは明治時代に入ってからで、明治政府の方針で廃仏毀釈のために、寺院としては、その規模を縮小されてしまい、さらには、1933年(昭和8年)の火災でほとんどの堂塔伽藍が焼失してしまいます。場所的には、もともとの鶏足寺は己高山観音寺として、もっと山の上にあったようですが、火災によって焼失した後は、廃寺となっていた旧飯福寺跡に現在の建物を再建し、新たに鶏足寺とされたようです。看板に鶏足寺(旧飯福寺・はんぷくじ)としてある理由は、このような事情があるからでしょう。現状では、入口付近とそれから鶏足寺本堂の建物に至る石段や通路があるだけといった感じになってしまっています。鶏足寺の紅葉の見頃は11月下旬から散り紅葉まで含めると12月初旬ぐらいまで楽しめるのではないでしょうか。行った年では11月24日の時点で、紅葉が真っ盛りで、散り紅葉にはまだまだ少し早いという感じがしました。
鶏足寺(旧飯福寺)の色鮮やかな紅葉
11月下旬以降になると、鶏足寺一帯では素晴らしい紅葉が楽しめます。