京都の社寺では撮影禁止が徐々に増えてきているわけですが、それでいいのでしょうか?
ただ、ひとつ言っておくとすれば庭園を痛めるのはカメラマンだけではありません。
マナーが悪いのもカメラマンに限った話ではないです。
それはカメラを持たない観光客だって同じことです。
三脚を庭園の苔に突き刺して、あるいは踏み荒らして云々ということと同じことが、
観光客が歩くことでも起きてしまうわけで。押し寄せる観光客が押しあいで通路をはみ出してしまう、
そして必然的に庭の苔を踏んでしまう、
あるいは立ち入り禁止のところへ平気で入ってゆき、踏み荒らす。
昨年も、立ち入り禁止の竹柵の横から入って枯山水庭園を平気で踏み荒らして
係りの人に「歴史のある庭園になんてことをする!」と
怒られている若い女性のグループの信じられないような光景も見ました。
確かに拝観料を払っているとはいえ、
やっていいことと悪いことの区別がつかない人も一般の観光客にだっているわけです。
カメラマンだろうが一般観光客だろうが関係ないです。個人個人のマナーの善し悪しだけです。
また平日に出かけることが多い京都でも、外国人観光客を見ないことは稀です。
外国人観光客にはマナーといっても文化圏の違いなどから理解できないことも多いと思います。
観光旅行で来た外国人観光客から見たら、日本の撮影禁止の多さは異常に見えるかもしれません。
考えようによっては撮影禁止を打ち出すことで、逆に考えれば観光客の数を調整しているとも
思われます。多すぎる観光客を減らす人数調整ですね。
観光客が減れば、必然的にマナーの悪い人間も減りますので。
究極は本当にそこへ行きたい人だけ行くことになるでしょう。
庭園を守るということを観光収入よりも重視しているところでは
当然起こりうることだと思います。
またお寺によっては撮影禁止にすることで、庭園写真などの
オフィシャルグッズの売り上げを伸ばそうと考えているのかもしれません。
でもこれは一時的にはいいかもしれませんが、
一概に売り上げが継続的に伸びるとは思えないです。
撮影禁止にすることで、メディア露出の機会が
格段に減ってしまうこと、あるいはテレビ局だけに撮影OKにしたとしても、
観光客の心理としては当然テレビで見た美しい風景を見にやってくるわけですから、
その風景を写真に撮って家で楽しみたい人は大勢いるわけで、実際来てみたら撮影禁止で
何だ、あそこは高い拝観料を取るくせに写真も撮らせてくれないのか!ケチくさいことしやがって!
普通に観光客ならば素晴らしい庭園を目の前にして、素晴らしい紅葉を目の前にして、
それを自分のカメラで記念撮影がてら撮って、帰ってから知人や友人に自慢もできない、
そんな状態が続けば自然と離れて行ってしまうと思います。
私だってカメラが趣味でなかったとしても、何をするにも禁止禁止で
高いお金を払って写真1枚も撮れない、記念撮影も出来ないような観光地には行く気すら起きませんね。
何も素晴らしい観光地は京都だけではないわけで、多分他所に流れてゆくことになると思いますよ。
観光客は楽しみに来ているのです。お金を取る以上、楽しんでもらうのが本来ではないかと思います。
観光客は嫌な思いをしに高い旅費と拝観料を払ってわざわざ足を運んでいるのではありません。
観光地としての京都を考えたときに、行き過ぎた撮影禁止という措置は
かなりイメージダウンになるのでは?と思います。
観光客もカメラマンも大多数はマナーのいい人たちなわけで、ごく一部数人が迷惑をかけたというだけで
一気に猫も杓子も撮影禁止にするのではなく、撮影行為で観光客から苦情が来た、
庭を踏み荒らすなどトラブルが起こった場合はいくらいただきますと明示したうえで、
それでもそういう行為を起こした本人だけを罰すればいいことで、
関係ない観光客やカメラマンには少々大目に見るという度量も欲しいところです。
撮影禁止の措置はそういった反感を観光客から買うことは当然承知の上ということにもなります。
有名どころでなければ、撮影禁止による露出機会減少と観光客の反感とで
観光収入激減の可能性も覚悟の上ということです。それでいいのでしょうか?
しかも今時デジカメ全盛時代で携帯ですらカメラ付きがほとんどの状況で、
写真撮影禁止はわざわざほとんどの観光客を敵に回しているようなものではないでしょうか?
まあだから逆に混雑を考えて撮影禁止にするのかもしれませんが。
もちろん円通寺さんのようにポリシーがあって庭園を守るということが
最大の目的で、不利益は納得済みであるのならばそれはそれでいいわけですが。